第二会社方式その1

@「第二会社方式」とは、Good部門とBad部門を切り離し、過剰債務により財政状況の悪化した収益性が悪い部門を既存会社に残し、
Good部門の収益性が高い優良な事業だけを別会社(第二会社)へ事業譲渡又は分社化し、事業再生を図るとともに、
不採算事業・過剰債務が残された旧会社を特別清算や破産してしまう事業再生手法の1つです。

平成21年6月22日に施行された「改正産業活力再生特別措置法」(「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」以下、
「改正産活法」)により、第二会社方式による中小企業の事業再生を支援するため「中小企業承継事業再生計画」(第二会社方式による再生計画)を国が認定し、対象企業に各種支援策を与える制度が創設されました。

【「中小企業承継事業再生計画」認定の対象となる企業】

第二会社方式による再生計画(中小企業承継事業再生計画)の認定を受けるためには、下記の9つの要件を満たすことが必要になります。

1.過大な債務を負っていること等によって財務の状況が悪化していること(計画申請時点で、有利子負債/CF(キャッシュフロー) > 20)
2.計画期間終了時点で事業収支・財務状況が改善すること
(計画終了時点で、①有利子負債/CF≦10、②経常収支≧0)
3.既存又は新設する事業者への吸収分割又は事業譲渡、及び新設分割により特定中小企業者から承継事業者へ事業を承継するとともに、事業の承
継後、特定中小企業者を清算するものであること
4.債権者調整が適切になされているものを認定するため、公正性が担保されている手続(再生支援協議会、RCC企業再生スキーム、事業再生A
DR、中小企業再生支援機構、私的整理ガイドライン、民事再生法等)を経ていること
5.第二会社の事業実施における資金調達計画が適切に作成されていること
6.営業に必要な許認可について、第二会社が保有、又は取得見込みがあること
7.承継される事業に係る従業員の概ね8割以上の雇用を確保
8.労働組合への説明など従業員との適切な調整が図られていること
9.取引先企業の売掛債権を毀損させないなど取引先企業への配慮

 

【第二会社方式の支援措置】

中小企業の第二会社方式による再生計画(中小企業承継事業再生計画)の認定を受けると、第二会社方式が抱える課題に対する支援が受けられます。

1. 営業上必要な許認可を承継
第二会社が営業上の許認可を再取得する必要がある場合には、事業期間に空白を生じさせないため、旧会社が保有していた事業に係る許認可を第二会社が承継できます。
承継の対象となる許可としては、旅館業法、建設業法、火薬類取締法(火薬類製造業・火薬類販売業)、道路運送法(一般旅客運送事業・貸切バス)、ガス事業法、熱供給事業法、貨物自動車運送事業法(一般貨物自動車運送事業・トラック運送)などがあります。

2. 税負担の軽減措置
第二会社を設立した場合等の登記に係る登録免許税、第二会社に不動産を移転した場合に課される登録免許税及び不動産取得税が軽減されます。
税率の軽減は、登録免許税:(資本金)0.15%→0.10%、(増加資本金)0.70%→0.35%、(不動産登記)0.80%→0.20%、不動産取得税:(土地)3.00%→2.50%、(建物)4.00%→3.30% など。

3. 金融支援
第二会社が必要とする事業を取得するための対価や設備資金など新規の資金調達が必要な場合、金融支援を受けられます。
金融支援は、日本政策金融公庫の低利融資(基準金利-0.9%)、中小企業信用保険の拡大(普通2億円、無担保8千万円、特別小口1,250万円)、投資育成会社による出資対象範囲の拡大(資本金3億円を超える企業も出資可能)など。

【第二会社方式のメリット】

経済産業省から、中小企業承継事業再生計画の認定を受けると、下記の支援が受けられます。この点が、経済産業省の絡まない、単なる会社分割との違いです。
① 許認可承継 : 営業上の許認可を、旧会社から第二会社に引き継げます。
② 税負担軽減 : 第二会社設立時の登録免許税、不動産取得税等が軽減されます。
③金融支援
※日本政策金融公庫の特別融資、中小企業信用保険の特例、中小企業投資育成株式会社法の特例の金融審を受けられます。

 

【第二会社方式のデメリット】

第二会社方式の場合、単なる会社分割を比較した場合、経済産業省の認定要件として、公正な債権者調整プロセスを経ていること(再生支援協議会、事業再生ADR、私的整理ガイドラインなど)等複数の要件を満たす必要があり、以下の添付書類(※)が必要となるなど、必ずしも容易に認められるというものではないというデメリットがあります。
第二会社方式は、あくまでも他の再建手続と併用して、前述のメリットを享受するための選択肢として用いるのが適切と考えられます。
※主な添付資料
・ 定款の写し、貸借対照表等
・ 事業の継続および再建を内容とする計画および計画の専門家による報告書
・ 事業が相当程度強化されることを示す書類
・ 公正な第三者機関の関与または公正な手続を経ていることを示す書類
・ 事業に必要な許認可等を保有していることを証する書類
・ 従業員の地位を不当に害するものでないことを証する書類 等